プリプレス技術とワークフローの追求/髙瀬勝己

印刷トラブルを防ぐためのプリフライト Pro
最新版は2025年5月22日(再配布、改変禁止の違反により、現在一般配布はしていません。)

印刷トラブルを起こす潜在的オブジェクトはその構造を基に特定が可能です。これらは検索して探した方が効率的であり、そのほとんどが数秒で終わります。知識も技術も必要ありません。人間のように見落とす事もなく、いつ誰が行っても同じ結果を示します。印刷トラブルを防ぐにはプリフライトチェックが必要不可欠です。
仕事で使えるプリフライトプロファイルとは
チェックする項目が多ければ多いほど多機能となりますが、動作が重たく処理が完了するまでに時間がかかってしまうと使わない人も出てくるので1ページ2秒以内を基準として調整と整理を行っています。
また、チェック結果表示は必要最小限にしています。わかりきったようなものは不要です。例えば、スミノセ、スミ抜き合わせのオブジェクトは、アウトライン化されたテキストだと数百、数千のオブジェクトがヒットされる場合も珍しくありません。Acrobat Proはチェック結果表示の最大数がデフォルトでページごと(直接):10、ページごと(「その他の該当箇所」の下):20、文書全体:1,000となっています。プリフライトプロファイルを登録してすぐに使用でき安定した動作を望むのであれば、このデフォルトを変えない事です。そのオブジェクトの場所を特定できないほどの数がヒットしても時間の無駄であり意味がありません。スミノセ、スミ抜き合わせはデザインによって使い分けがあり、最終的には人間の眼による判断が必要です。これらは出力プレビューを使った方が効率的です。
プリフライトチェックの目的はトラブルを起こす可能性を見つけて工程を止めてしまうのではなく、注意や伝達で対応できるものであればそのまま後工程に回せる柔軟な対応にあります。インキ総使用量が1%でも超えたらやり直しなどという思考が停止したワークフローは無駄を生むだけです。
そして、プリフライトプロファイルはワークフローを体現するものです。その内容からどのようなワークフローかを知る事ができ、用意すべきデータを理解できます。印刷事故から会社と従業員を守らなければならない、その責任を負える覚悟と努力がないプリフライトプロファイルは仕事では使えません。「印刷トラブルを防ぐためのプリフライト」は10年以上に亘って改良を続けています。安易な考えで作られたプリフライトプロファイルほど害を及ぼし無責任なものはありません。
以下は、私が勤務する会社のワークフローに合わせてカスタマイズし登録している項目の一覧です。約80項目(オーバープリントは塗りと線を一つにまとめています。)のチェックを行なっていますが、これらを1秒で行う事など人間には不可能です。
■文書
PDF文書は暗号化されている
PDF文書は破損しており、修復が必要
PDFの構文に関する問題点をレポート
■ページ
ページのサイズまたは向きがページごとに異なる
■フォント
フォントが埋め込まれていない
■カスタムチェック
.notdefグリフ(文字なしマーク)を使用
フォントに存在しない字形が使用されて空白グリフや「豆腐」と呼ばれる白四角や四角バッテンなどへの文字化けを起こしています。
InDesignで日本語OpenType Stdフォントを使ってルビを入力した場合も化けたり飛んでしまう現象があります。これはフォントをファミリー単位でアクティベートする事で防げます。
Unicodeにマッピングされていない源ノ角ゴシック、源ノ明朝
源ノ角ゴシック、源ノ明朝は、EPS保存したファイルを配置してPDFを書き出すと大きく崩れてしまいます。ai、PDFで保存し直したファイルに置き換えてください。
カラー画像の解像度不足
必要解像度の境界を250ppi(350ppiを140%で配置)に設定しています。Webやキャプチャ画像は元々の解像度が低いので無視してください。
カラー画像の過剰な解像度
基準解像度(350ppi)の倍を超えています。過剰な解像度はデータ容量と処理にかかる時間を増大させます。また、印刷での再現品質も飽和します。リサイズを検討してください。
●ファイルサイズ(ディスク上のサイズではなく)が200MBを超えているものを対象にしています。
グレースケール画像の解像度不足
必要解像度の境界を214ppi(300ppiを140%で配置)に設定しています。Webやキャプチャ画像は元々の解像度が低いので無視してください。
グレースケール画像の過剰な解像度
基準解像度(300ppi)の倍を超えています。過剰な解像度はデータ容量と処理にかかる時間を増大させます。また、印刷での再現品質も飽和します。リサイズを検討してください。
●ファイルサイズ(ディスク上のサイズではなく)が200MBを超えているものを対象にしています。
ビットマップ画像の解像度不足
必要解像度の境界を600ppi(1200ppiを200%で配置)に設定しています。QRコードは携帯電話のカメラで読み取れれば問題ないので無視してください。
ビットマップ画像の過剰な解像度
基準解像度(1200ppi)の倍を超えています。過剰な解像度はデータ容量と処理にかかる時間を増大させます。また、印刷での再現品質も飽和します。リサイズを検討してください。
●ファイルサイズ(ディスク上のサイズではなく)が200MBを超えているものを対象にしています。
確認が必要なダウンサンプルされた画像 ※1
ダウンサンプルした場合、透明を利用して切り抜いたPSD画像の周囲に偽色が強調されて印刷に現れる(CMYKの各値が同じ)事があります。PSDファイルの互換性を優先をオフにして再保存、もしくはダウンサンプルしないでください。
●画像に配列のデコードがない場合、警告を無視して構いません。
非可逆圧縮された画像 ※2
PDF書き出し設定によってデータ損失がある非可逆圧縮された画像は、色の境界周囲でモスキートノイズによる劣化が目立ちやすくなります。
4Cブラック
黒を4Cで再現しています。RGBのブラックをプロファイルでCMYK変換した状態が考えられます。版ズレ時の影響が目立つ小さい文字や細いケイへの適用、あるいは白抜きが隣接している場合に通常のキックバック処理であるCMYを逃しただけではスミアミとなるのでスミベタ部分を作る必要があります。
4Cベタ
4Cベタ(CMYKすべてが100%)のオブジェクトはインキの乾燥不良を原因とするトラブルを起こしやすくなります。
CMYKプロファイルを埋め込み(出力インテントと異なる)
出力インテントと異なるCMYKプロファイルを埋め込んだ場合、出力インテントによって変換された色と数値で表示されます。オーバープリントは反映しません。RIPでは元の数値通りに処理されますがオーバープリントは反映しないままです(OPM=0)。
CMYKプロファイルを埋め込み(出力インテントなし)
出力インテントがないPDFにCMYKプロファイルを埋め込んだ場合、異なるAcrobatのシミュレーションプロファイルでは変換された色と数値で表示されます。オーバープリントは反映しません。RIPでは元の数値通りに処理されてオーバープリントも反映します(OPM=1)。
オブジェクトはCIE Labカラーを使用
InDesignでPantoneカラーライブラリから登録した特色を、カラーモードをLab、カラータイプをプロセスに変更したものはCIE Labとなります。この状態のCMYK数値は出力インテントによって変換された場合の数値であり、出力環境によって数値が変化する事を意味します。
オブジェクトはDeviceGrayを使用
DeviceGrayはPhotoshopでモードをCMYKカラーにして開くと、4Cブラックに変換されます。InDesignはページ内に透明オブジェクトが存在すればDeviceNに変換してK1Cを保持します。
オブジェクトはLabカラーを使用
オブジェクトはLabカラーを使用。あるいはEPSオプションで「ポストスクリプトカラーマネジメント」にチェックが入っている可能性が考えられます。その場合は異なるCMYK値に出力機側で変換される恐れがあります。
カラー画像に透明効果(描画モード)を適用
加法混色であるRGBと減法混色であるCMYKでは透明効果(描画モード)によっては異なる外観になるものがあります。また、CMYK分解カーブがUCRからGCRに変わるスミ基調も同様です。変換している場合、前後を確認してください。
ニス版あり
パターンを使用
複雑なパターンはRIP処理時にエラーとなるケースがあります。また、EQUIOSの自動製版は適用できませんので、必要な場合は分割・拡張→合流してください。
リッチブラック
リッチブラックに対するインキ総使用量は、乾燥不良によるトラブルを避けるために250%程度内に抑えた方が良いでしょう。また、小さい文字や細いケイへの適用、あるいは白抜きがある場合にも版ズレが目立ちやすくなりますのでCMYを内側へ逃がすキックバック処理が必要です。
特色の擬似色定義はCMYK
異なる擬似色定義で制作されたドキュメントの特色は擬似色化して出力した際の色も異なります。
●PDF/X-1aでは擬似色定義がCMYKに変換されます。
特色の擬似色定義はLab
異なる擬似色定義で制作されたドキュメントの特色は擬似色化して出力した際の色も異なります。
●擬似色化の結果はカラー設定によって変化します。
特色を使用
オブジェクトは特色が使用されています。出力時は同角あるいは15°モアレが起きないようスクリーン角度に注意してください。
特色名にEQUIOSの禁止文字を使用
特色名に“&“を使用するとエラーになります。また、ジョブを操作時にクライアントがフリーズする等の問題も発生します。
Windowsの禁止文字は自動的に“#“に置き換わります。
特色名のエンコードがUTF-8(日本語)
日本語の特色名にUTF-8を使用した場合、同名のShift_JISとは異なる色として扱われる原因となり、配置やRIP処理で文字化けします。また、擬似色定義のカラーに変換されるものもあります。特色名を英数字にしてください。
画像はインデックス付きDeviceN
このカラースペースは一般的にダブルトーンで使用されますが、グレースケールの場合は注意が必要です。塗りを適用したInDesignのフレームに対して配置すると画像とフレームの色が合成された状態となります。意図的ではない場合、フレームの色をなしにするかグレースケール画像の背景をレイヤーに変えてください。
透明ブレンド領域のカラースペースはRGB
InDesignで透明ブレンド領域のカラースペースをRGBにしています。透明ブレンドの結果はオーバープリントの反映を含めてRGBとCMYKで同じとは限らず、このPDFは出力プレビューを表示しないと正しく描画できません。
スムーズシェーディングにShadingType 7を使用
スムーズシェーディングにShadingType 7(Tensor Product patch meshes)を使用したオブジェクトはAPPEで処理しないとジャギーが発生します。
例:パスに沿ってグラデーションを適用、パスに交差してグラデーションを適用。
ヘアラインを使用
0.05mmより細いケイは印刷時の再現に危険を伴います。
細ケイにスムーズシェーディングを使用
細ケイにスムーズシェーディングを使用すると、オブジェクトの角度とスクリーン角度によってはビリつきが酷くなり、破線のように見えてしまう線切れも起こります。出力時に角度チェンジで対応できるか判断してください。また、掛け合わせでは版ズレが目立ちます。
細ケイに薄アミを使用
細ケイに薄アミを使用すると、オブジェクトの角度とスクリーン角度によってはビリつきが酷くなり、破線のように見えてしまう線切れも起こります。出力時に角度チェンジで対応できるか判断してください。
描画カラースペースはデバイスに依存しない
透明を含むファイルを配置したInDesignのドキュメントを作業用スペースと出力インテントが異なる状態で書き出しています。このPDFは出力プレビューを表示しないと正しく描画できません。InDesignのカラー設定は反映しない不具合も起きるので、その場合は再設定してください。
DeviceCMYKの画像(色数判別に影響)
DeviceCMYKの画像は実際に使用されている色に関係なく、空でない版の数が4版と認識されます。
ベクトルオブジェクトの数が100000以上
ベクトルオブジェクトの数が極端に多いと、プリフライトやRIP処理の速度に大きな影響が出ます。可能であればラスタライズも検討してください。
仕上がりサイズまたはメディアサイズ上に囲みケイ
透明グレースケール画像に特色で着色
透明を含むグレースケール画像に着色できるのは特色のみです。プロセスカラーでの置き換えはできません。
配置画像は透明オブジェクト ※3
画像が背景ではなくレイヤー、あるいは背景が非表示のものは透明オブジェクトとなります。他の透明効果と重ね掛けの状態が広範囲に及ぶとRIP処理に支障が出る可能性があります。また、この画像に対してEQUIOSの自動製版は機能しません。このような場合は統合もしくは背景が表示された状態にしてください。
面付けされたページのトンボは突出先端
面付けされたページのトリムマークは突出先端になっています。この状態だと線幅の半分が先端を飛び出るのでトリムマークを利用したアートボードで位置合わせしている場合にズレが生じます。
1Cページ ※4
該当ページを表示するにはサブメニューを展開してそのページをダブルクリックしてください。
2Cページ ※4
該当ページを表示するにはサブメニューを展開してそのページをダブルクリックしてください。
3Cページ ※4
該当ページを表示するにはサブメニューを展開してそのページをダブルクリックしてください。
4Cページ
該当ページを表示するにはサブメニューを展開してそのページをダブルクリックしてください。
5C以上ページ
該当ページを表示するにはサブメニューを展開してそのページをダブルクリックしてください。
ICCBasedCMYKを使用(出力インテントと同じ)
レンダラーによる出力結果の差を生じる可能性があります。PDF/X-4では出力インテントと同じCMYKプロファイルを埋め込む事は許可されていません。
Illustratorの編集機能を保持
オブジェクトはRGBを使用 ※5
カラー画像のオーバープリント
カラー画像は埋め込むとオーバープリントを適用できます。意図的なものかどうか確認してください。また、Illustratorで効果を適用するとオーバープリントは効果にも影響してPDFはこの状態で再現されます。
グレースケール画像のオーバープリント
グレースケール画像はオーバープリントを適用できます。意図的なものかどうか確認してください。
スムーズシェーディングのオーバープリント
DeviceNで記述されるグラデーションはオーバープリントを適用できます。意図的なものかどうか確認してください。
センターに配置されていないPDF
InDesignから書き出されたPDFは左右133.7mm以内のドキュメントにページ情報を含めるとセンターに配置されません。ページ情報を含めないか、含める場合は印刷可能領域をすべて一律17mm以上に設定してください。
プロセスカラーのオーバープリント
意図的なものかどうか確認してください。
プロセスカラーのオーバープリント(コンポーネントの数が4)
ゼロ以外のコンポーネントの数が4であるCMYKオブジェクトは特色にしかオーバープリントが反映しません。
ヘアラインを使用 (線ではなく塗りに色を適用)
線ではなく塗りに色を適用したケイは、プリンタでは出力されていても高解像度の出力機では極細線となり、印刷時に肉眼で判別できるだけの再現は困難です。
メタリックインキを使用
刷り順を確認してください。スミノセのオブジェクトに対して下地が特色の不透明インキ(金、銀など)を後刷りした場合、覆い隠されてトラブルになるのでそれらは抜き合わせ、可能であればトラップ処理してください。
乗算のブラックオブジェクトにオーバープリント
乗算とオーバープリントの重ね掛けは濃度に影響を与えます。N-PDFのようにオーバープリントではなく乗算を推奨するワークフローに対して、オーバープリントの適用は版ズレ時にかえってトラブルとなります。
乾燥不良のトラブルを招く恐れがあるPDF ※6
過度のインキ量が使われています。UVオフセット印刷はインキ総使用量380%以内(油性オフセット印刷は350%以内)に抑えなければ乾燥不良のトラブルを招く恐れがあります。出力プレビューの領域全体をカバーで確認してください。ピクチャーレーベルはインキ総使用量を無視して構いません。
●特色版が存在しないPDFのみに機能します。
仕上がりサイズ(左右×天地)
サブメニューを展開してください。
意図的なブラックノックアウト
自動スミノセ(Illustratorのオーバープリントブラック、InDesignの[黒]のオーバープリント含む)が適用されないようにCMYに1%追加、あるいはK99%にしています。
構造的に無効となるオーバープリント
オーバープリントの属性があっても、記述に矛盾がある場合は反映しません。このような状態は誤ったカラースペースの変換によって起こり得るので、本来の外観を再現できていない可能性があります。また、描画モードを分離した場合も対象となります。
混合インキのオーバープリント
DeviceNで記述される混合インキはオーバープリントを適用できます。意図的なものかどうか確認してください。
混合インキのオーバープリント(CMYKのいずれかに0%)
DeviceNで記述される混合インキはオーバープリントを適用できます。CMYKのいずれかに0%が存在するのでその版へのオーバープリントは反映しません。意図的なものかどうか確認してください。
特色のオーバープリント
意図的なものかどうか確認してください。ニス版は除外しています。
白のオーバープリント
色の0%が透過する事で結果的にオブジェクトが消失した状態となります。
白のオーバープリント(None)※7
アプリケーションによって色の0%となる「None」に書き換えられてしまっているため、RIPでオーバープリントを解除する事はできません。
白ページ
該当ページを表示するにはサブメニューを展開してそのページをダブルクリックしてください。
破棄してはいけない白のオーバープリント
PDF編集ソフトウェアのキックバック処理では、プロセスキーが含まれないDeviceNで白のオーバープリントを利用するものがあります。これを破棄してしまう事は逆に印刷事故を招く原因となります。
自動スミノセ対象となる透明オブジェクト(適用前)
スミベタのオブジェクトは、描画モードや不透明度を変更しても自動スミノセ(Illustratorのオーバープリントブラック、InDesignの[黒]のオーバープリント含む)対象となります。適用させないためにはK99%にする、あるいは手動スミノセ運用に変更してください。
自動スミノセ対象となる透明オブジェクト(適用後)
スミベタのオブジェクトは、描画モードや不透明度を変更しても自動スミノセ(Illustratorのオーバープリントブラック、InDesignの[黒]のオーバープリント含む)対象となります。適用させないためにはK99%にする、あるいは手動スミノセ運用に変更してください。
Acrobatレイヤーが存在するPDF
アプリケーションで非表示にしているレイヤーも含まれプリフライト対象となります。また、レイヤー構造が何層もあるPDFではRIPのページ重ね合わせ処理でエラーとなる報告もあります。バージョニング印刷でなければ、Acrobatレイヤーを含める理由はありません。
PDFのバージョンは1.3
透明をサポートしないPDF 1.3(例:PDF/X-1a)、もしくはEQUIOSで透明を含むPDFに対して出力しない版を設定やPDF 1.3互換を適用しています。そのため、PDF/X-4からの変換と出力結果(品質)は異なる可能性があります。また、レイヤーをサポートしないのでバージョニング運用は利用できません。
Distillerで変換されたPDF
OutlinePDF
OutlinePDF Advance(Lib. Ver.5.01)
OutlinePDF Advance(Lib. Ver.5.01)は、RIP Ver.8以降(7.02 EQ211〜、8.00 EQ011〜)での処理は推奨されていません。
OutlinePDF Advance(Lib. Ver.6.00)
OutlinePDF Advance(Lib. Ver.6.00)は、RIP Ver.8以降(7.02 EQ211〜、8.00 EQ011〜)でなければ処理できません。
PDF/XバージョンはPDF/X-1a
PDF/XバージョンはPDF/X-1aですが、準拠している事を保証するものではありません。
PDF/XバージョンはPDF/X-4
PDF/XバージョンはPDF/X-4ですが、準拠している事を保証するものではありません。
出力インテントは一般的なコート紙以外のプロファイル
一般的なコート紙のプロファイル(Japan Color 2001 Coated、Japan Color 2011 Coated、Japan Web Coated (Ad))以外を出力インテントにしています。Acrobatは出力インテントを参照して表示するので条件が異なれば実際の印刷では変わってしまう恐れがあります。出力プレビューでシミュレーションプロファイルを変更しても変換によって表示されるので正しくありません。
※1:ダウンサンプルを使用して効率化を図る運用には必須の機能です。
※2:Adobeが用意しているPDF書き出しプリセットが該当します。
※3:レイヤー状態の画像は、他の透明効果と重なるとRIPの処理速度に影響します。
※4:トリムマーク等レジストレーションカラーの影響を受けずに実際の色数を表示します。
※5:ICCBasedRGBにも対応しています。
※6:一定範囲を超えるものに対して警告を表示する実用的な機能です。
※7:この機能はAdobeが用意しているプリフライトプロファイルにはありません。
青文字は一般配布版にない機能です。
RIPが処理するのは変換されたPDFであり、ネイティブデータに対するライブプリフライトでは不十分です。あくまでもプリフライトチェックの目的は印刷事故を防ぐためである事を忘れてはいけません。そして、これまでの設定を現在の視点から見直して、大幅な改良を加えProの名を冠したプリプレスのプロ向けとなる「印刷トラブルを防ぐためのプリフライト Pro」を2022年7月にリリースしました。これにより構造的にトラブルとなるかどうかの判断をさせる事が可能になっています。
プロファイルの登録
Acrobatへの登録は、プリフライトダイアログボックスのオプションから「プロファイルを取り込み」で行うか、プリフライトダイアログボックスを表示した状態でAcrobatのアプリケーションアイコンにドラッグ&ドロップして行います。
プロファイルは上書きされないので同名のプロファイルや項目がすでに存在する場合はコピーとして登録されます。

プリフライト結果

処理にかかった時間は1秒です。
必要な二重チェック
プリフライトチェックは、アプリケーションから書き出したPDFとNormalized PDFの両方で行う必要があります。これはトリムボックス情報のようにRIP処理前でなければ利用できないチェック項目も存在するためです。

元となるPDF

Normalized PDF(メディアボックス情報以外消失)
オブジェクトを特定する使い方
プリフライトチェックで引っかかったオブジェクトが全体表示ではどこにあるのかわかりにくい場合、拡大表示してからチェック項目をダブルクリックすると、そのオブジェクトまでジャンプします。また、背面に隠れているオブジェクトなどはプリフライトパネルのスナップビューで表示させる事で特定できます。
順番に表示させるにはこちらをダブルクリックします。

個別に表示させるにはこちらをダブルクリックします。

スナップビュー

オーバープリントによる印刷事故は防げる時代
私がプリフライトプロファイルを開発するきっかけは白のオーバープリント対策でした。その後、Noneだけでなく破棄してはいけないタイプにも対応し、現在は自動スミノセ(RIP、アプリケーション)と透明効果を使用したスミベタの組み合わせによる変化にも対応しています。従って、自社ではオーバープリントによる印刷事故は皆無です。印刷トラブルを招く要因としてオーバープリントを話題にする時代はすでに終わっています。これはプリフライトプロファイルによる功績の一つと言えます。
安易なプリフライトプロファイルの作成は危険
AdobeのAcrobatフォーラムでも回答していますが、エラーが表示されて読み込めない、プロファイル内が真っ白になってしまう原因は、カスタマイズしたプリフライトプロファイルの互換性や破損です。設定に矛盾があったり、正常に機能しない項目の組み合わせで起きます。その場合は、アンインストールしても残ってしまうので該当するフォルダを手動で削除して再作成しなければなりません。プリフライトプロファイルは、構造や仕様をよく理解した上で作成する必要があります。
PDFに使用されているフォントに対してType 1かどうかの判別は不可能
2023年1月までにAdobeはType 1フォントのサポート終了を告知しています。OpenTypeフォントなどへの移行を迫られる中、PDFに対してプリフライトでType 1フォントが使用されているかチェックしようと考える人もいますが、それは不可能です。Acrobatが参照するCFF(CompactFontFormat)の構造はType 1とOpenTypeで同一であるため、プロパティではどちらもType 1と表示されます。
Acrobatのプリフライト項目に用意されているフォントの種類は、
Type 1/ Type 1、OpenType(欧文)
Type 1(CID)/OpenType、CID
TrueType/TrueType
TrueType(CID)/TrueType
のように分類されます。
フォント名にPro、Pr、Stdなどが付加されているかどうかによる判断は、付加されていないOpenTypeも存在するために決め手とはなりません。これは和文のCIDとOpenTypeの判断においても同様です。
※Adobeが「PDF&出力の手引き」というPDFを公開しています。そこでType1フォント使用箇所の確認方法というプリフライトを紹介していますが、上記の理由により結果表示されているものはOpenTypeです。フォント名にproが付いている事からも明らかですが、メーカーでさえ検証をせずに誤りを広めてしまう現実を肝に銘じるべきです。

プリフライトチェックの結果から学ぶ
これまで製版、印刷の現場では実際に遭遇したトラブルから学ぶ事がほとんどでしたが、それを未然に防ぎつつプリフライトチェックの結果から学ぶ事ができます。エラー、警告、情報についてそれぞれの原因と対応の解説を記載していますので、オペレーターに対する教育も実際の仕事を通じて行う事が可能になります。
エラー

警告

情報

色数を判断するためのプリフライト 2025
PDFの色数を正確に判断するというのは非常に難しいものです。Acrobatのページ情報に表示される「空でない版の数」は、実際に使用された色(白であっても)に関係なくDeviceCMYKの画像を4版と認識するので3C以下のPDFを判別できません。また、PDFのカラースペースがDeviceCMYKなのでレジストレーションカラーが存在すると「実際に空でない版の数」も4版(特色が存在する場合はそれ以上)と認識するので、プリフライト範囲を指定できない仕上がりサイズとメディアサイズが同じになるアートボード内にトリムマークが存在するIllustratorから書き出したPDFやメディアサイズしか存在しないOutlinePDF Advanceの色数を判別できません。また、作業用CMYKと出力インテントが異なる条件(カラーマネジメントの破綻)で書き出したPDF/X-4も同様ですが、OutlinePDF Advanceに変換するとデバイスCMYKとなるのでこの時点で色数は正しく判別できるようになります。他にも描画モードの差の絶対値、除外、色相、彩度、カラーによって新たに生じた版は、「空でない版の数」に反映されません。版の種類については実効インキ総量から判断するしかありません。
印刷には問題ないPDFだとわかっていながらプリフライトプロファイルに合わせてドキュメントを作り直すのは無駄であり本末転倒です。「色数を判断するためのプリフライト」は、「印刷トラブルを防ぐためのプリフライト Pro」のように条件に基づいて振り分け正しい色数を表示しようとする方法では対応できない矛盾したワークフローから書き出されたPDFも対象に、各項目がどのように判断しているのか正誤含めてすべて表示させるようにしています。その結果から人間が判断できるようにしたものです。そのため、なぜそう判断されるのかという理由を理解できる知識が必要です。
各版で使用されたオブジェクトを検索する機能も備えています。フィックスアップが使える状況であれば、トンボ類からページボックスを設定してレジストレーションカラーの影響を受けず、仕上がりサイズ内の色数を正確に判別できるようになります。



エラーや警告に対する判断
その属性を持つオブジェクトを見逃す事なく特定しますが、結果に対して最終的な判断は人間が行わなければなりません。例えば、背面に隠れたオブジェクトであれば印刷に影響しません。また、CMYそれぞれに色が存在するリッチブラックにオーバープリントが適用されていても反映しません。これらに対するエラーや警告は無視できます。正しい判断ができる能力がなければプリフライトを使いこなす事は難しいでしょう。そのため、初心者ではなくプロ向けのツールとしてプリフライトプロファイルは存在します。
完璧ではなくても示された結果に対して確認できるのであれば、それは印刷事故を防ぐための行為として無駄にはなりません。むしろ、完璧ではないからと何もしないのは愚の骨頂です。
プリフライトプロファイル以外の活用
Acrobatにはプリフライト以外にもPDFチェックに使える機能があります。その中でも透かしを利用したデジタル検版はとても有効な方法です。自社ではルーラー付きの中心線を表示させてトンボ付きのPDFがメディアボックス内に正しく中心に配置されているのかチェックしています。一つの方法に固執するのではなく、確認するために最も効率的な方法を併用する事が印刷トラブルを防ぐ ためには必要です。

Acrobat Pro DCには2018年10月リリースのアップデート以来続く描画欠落の不具合があります。以下で報告しましたが未だに改善されません。
https://acrobat.uservoice.com/forums/590923-acrobat-for-windows-and-mac/suggestions/39290191-missing-pdf-display
目視による確認がまともにできないため、職場ではAcrobat Pro 2017を使用しています。また、2017はグループとして、DCは分割してカウントするケースがあります。この場合、数は異なっても結果は同じです。
免責
-
各項目が見落としなく正しく機能する事が印刷トラブルを防ぐための絶対条件となるため、日々の運用の中でより精度を高める迅速な対応が重要であり更新頻度の多さからも完成形はありません。そのため、最新版以外は正しく機能しないものと思ってください。
-
無料で配布するにあたって、すべての権利を放棄したわけではありません。再配布、改変を禁じます。プロファイルは内部の組み合わせや順番によって破損してすべてのプロファイルが読み込めなくなるといった事が起きます。再インストールによっても書き換えされないので、該当するフォルダを手動で削除しなければ復旧できないケースもあります。これについてはAdobeのフォーラムでも私が回答しています。改変によるトラブルに対して一切の責任を負いません。